昨日の初エントリで「テレビはあまり好きではない」と書きました。なぜなのか。
有名人と知り合いになり皆が知ってる番組に関わる…。一般的にテレビは華やかな世界と見られる。実際、そうやって憧れて業界に入る人は多いと思う。でも少し考えれば分かるが、そんなものは自分にとって何の腹の足しにもならないのだ。
映像ディレクターという職業は「独りで考え決断を下す」というのが仕事のようなもの。企画、台本、ロケ場所の選定(ロケハン)、オーディション、衣装、ロケ現場、編集、音響効果、CG、などなど、制作過程のありとあらゆるところでそれぞれの道のプロたちに指示を出し決定していく。この「指示を出す」のが仕事。そこが醍醐味でありシンドイところでもある。その「指示」がビデオの結果を左右するので責任は重い。指示を出せないディレクターは「あのDは何も考えてない」と無能の烙印を押される。
逆に言うと指示されるのが苦手な人が多い。それがたとえクライアントであろうと、先輩ディレクターであろうと、プロデューサーであろうと「ああしろこうしろ」と指図されるとムカっとくる性分だ。そうでない人はディレクターには向いていないといってもいいかもしれない。
ところがである。
テレビというのはなかなか上記のようにはいかないものだ。なにせ関わる人が多く「偉い人」もウジャウジャいる。自分の思い通りにいかないことがほとんどで、あらゆる局面で妥協を強いられる。ADであれば指図されることは非常に勉強になるのだがいったんディレクターになるととてもじゃないが胃に悪い。
制作チームの総意、作家、タレント、事務所、チーフディレクター、プロデューサー、テレビ局のプロデューサー、代理店、スポンサー、、、などなど、思いつくだけでも口を出してくる人間が多数。こんな状況で「自分が作った」と思えるものができるわけもなく、自尊心が強いディレクターにはイライラばかりがつのる。
というわけで僕はテレビの制作現場にすっかり嫌気が差して、離れてしまいました。おもしろくないわけではないんだけど、もっとおもしろい仕事があると気付いてしまったのだ。
コメントを残す